GUIDE / キャリアの意思決定 / 更新 2026-09-30
基本情報技術者試験、2027年改定前に今取る意味はある?

「2027年に情報処理技術者試験が大改定されるらしいから、今から基本情報技術者試験(FE)を取っても無駄になるのでは」。学習計画の相談でこの手の話をよく聞く。改定で区分そのものが消えるなら、今の努力が水の泡になりかねない。だったら改定が固まるまで待つか、最初から応用情報技術者試験(AP)を狙うほうが合理的ではないか、という発想だ。一見、堅実に見える。
だが、この不安の根拠を実際の一次情報まで遡って確認した人は、思ったより少ない。
改定案を読むと、FEは消えない
経済産業省とIPAは2026年3月31日、試験区分体系の見直し(案)を公表した。ここで語られているのは基本情報の廃止ではなく、その周辺をどう組み替えるかという話だ。
案によれば、ITパスポートの次のステップにあたる試験として、ビジネス・DX寄りの人材を主な対象とする「データマネジメント試験(仮称)」という新区分を設ける考えが示されている。一方で上位にある応用情報と高度試験群は、「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」としてマネジメント・データ/AI・システムの3領域に統合再編される予定だという。基本情報そのものは、ITパスポートや情報セキュリティマネジメントと並んで2027年度春頃に先行実施される区分として名前が残る。夏から秋頃にかけて新試験群が動き出す、という順序になっている。
つまり改定の主役は基本情報の廃止ではなく、その上と下で新区分が生まれたり、既存区分が再編されたりすることのほうだ。もちろんこれはあくまで(案)であり、名称も「仮称」、スケジュールも「予定」の段階でしかない。今後の議論で細部が動く可能性は十分ある。それでも、現時点で公表されている情報を素直に読む限り「FEを今取ると改定でまるごと無駄になる」という前提そのものが、そもそも成立しにくい。
待つか否か、ではなく次の一段をどう選ぶか
改定でFEが残るとわかると、問いの形が変わる。「待つべきか、今取るべきか」ではなく、「FEの次の一段を、今の応用情報で取りにいくか、改定後の新しい枠組みを見据えて照準を変えるか」という問いに置き換わる。これは避けて通れない選択であり、待っていれば自動的に答えが出るような性質のものではない。
この置き換えが見えにくいのは、改定のニュースが「試験区分が大きく組み替わる」という大きな見出しでひとまとめに伝わりやすいせいでもある。だが実際に手が入るのは基本情報の外側――下に新設される区分と、上で再編される応用情報・高度試験群――であって、基本情報そのものは土台として据え置かれる。改定を「全体が一新される」イメージで受け取ると、土台まで含めて様子見したくなるが、それは実態とずれている。
この区別がつくと、「待つ」という選択肢の扱い方も変わってくる。新しい区分――データマネジメント試験(仮称)やプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)――の詳細が固まるのを待つことには意味がある場合もある。だが、それは「基本情報を取るかどうかを待つ」話には直結しない。基本情報はすでに答えが出ている土台であり、待つ価値があるのはその先、応用情報やその先の高度試験に相当する領域のほうだ。多くの人が漠然と抱く「改定で全体が無駄になるかもしれない」という不安は、土台と上物を一括りにしてしまうところから生まれている。
実践的には、今の立場で選べばいい
今、実務でつまずいている知識を早く体系立てて証明したいなら、待つ理由はない。基本情報は2027年度も先行実施の区分として残る見込みなので、今始めても改定でまるごと無駄になる心配は薄い。合格すれば、その次の一段として現行の応用情報にそのまま進める。
逆に、これから担う役割がデータ・AI寄りやマネジメント寄りにはっきり傾いていて、新しい「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の3領域構成が自分のキャリアと重なりそうだと感じているなら、応用情報を急がず、新試験の詳細が固まるタイミングまで照準を保留するという判断もありうる。この場合の「待つ」は基本情報を後回しにすることではなく、その先にどの道を歩くかという一段上の選択を保留する、という意味になる。
どちらの立場でも、迷いが生じやすいのは自分の役割がまだ定まっていない段階だ。今の業務で日々触れているのが実装寄りの作業か、要件整理やチームの意思決定に近い作業かを棚卸しすると、応用情報を今すぐ取るべきか、新区分を待つべきかの判断はかなり絞り込める。どちらが正解かは職種と時期によって変わる問いだ。ただ、少なくとも「改定があるから基本情報自体をやめる」という選択肢は、現時点の一次情報からは導けない。
迷って手を止めている間にも、実務は動き続ける。基本情報は改定後も残る見込みであり、今取り組む価値は消えていない。詳しい見直し案はIPAの発表資料(https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260331.html)で誰でも確認できるので、不安の根拠を人づてでなく自分の目で確認してから、次の一段を決めるとよい。
tasklogでは、資格の合格体験記で実際にどの参考書が引用されているかを集計している。基本情報の参考書は基本情報(FE)の参考書ランキング、次の一段として応用情報を検討するなら応用情報(AP)の参考書ランキングで、実際に読まれている一冊を確認できる。
(改定案の内容はIPA発表資料に基づく。名称・スケジュールはいずれも案・仮称・予定の段階であり、今後の議論で変わる可能性がある)