GUIDE / キャリアの意思決定 / 更新 2026-10-09
応用情報技術者試験、2027年改定の前に今受ける意味はある? ― 基本情報とは話が違う

「基本情報技術者試験(FE)は2027年の改定でも試験区分として残るらしい。だったら次に取る応用情報技術者試験(AP)も、同じように形を変えずに残るだろう」。基本情報の改定の話を調べた人の中には、こう考えて応用情報の受験計画をそのまま進めている人が少なくない。
一見、自然な推論に見える。同じ情報処理技術者試験の中の、ひとつ上の区分というだけの関係だからだ。だが一次情報まで遡って確認すると、この推論はそのまま応用情報には当てはまらない。基本情報と応用情報は、今回の改定案で置かれている場所がそもそも違う。
基本情報は残る。応用情報は「残らない」
経済産業省とIPAが2026年3月31日に公表した試験区分体系の見直し(案)では、基本情報はITパスポートや情報セキュリティマネジメントと並んで、2027年度春頃に先行実施される区分として単独で名前が残る見込みだ。ここだけを見ると、応用情報も同様に「名前は残るが内容が変わる」程度の改定だろうと予想したくなる。
ところが案を読み進めると、応用情報の扱いはまったく別の枠組みに置かれている。応用情報とその上にある高度試験群――情報処理安全確保支援士やネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストなどの区分――は、まとめて「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」という新しい試験に統合再編される考えが示されている。マネジメント・データ/AI・システムという3つの領域に組み替えられ、2027年度の夏から秋頃にかけて始動する予定だという。
つまり基本情報は「存続する既存区分」、応用情報は「解体されて新区分に組み込まれる既存区分」という、正反対の立場に置かれている。基本情報向けに「改定を気にせず今取ればいい」と言えるロジックは、そのまま応用情報には流用できない。もちろんこれは名称も「仮称」、スケジュールも「予定」の段階の案であり、今後の議論で細部が動く余地は残っている。それでも現時点で公表されている情報を素直に読む限り、基本情報と応用情報を同じ扱いで考えるのは無理がある。
本当の問いは「待つか今取るか」ではない
ここで問いの立て方を間違えやすい。「改定が来るなら応用情報を取る意味はあるのか」という二択で考えると、答えは身構えるほど難しくない。今の実務で証明したい知識があるなら、現行の応用情報は少なくとも2027年度の夏か秋までは今の形で実施される見込みであり、今取って損になる制度上の理由はない。
本当に考えるべきなのは別の問いだ。応用情報の先にある高度試験群――情報処理安全確保支援士やネットワークスペシャリストなど――を見据えているなら、その領域は「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」としてマネジメント・データ/AI・システムの3領域に再編される予定であり、自分がどの領域に進むのかによって、今の応用情報を踏み台にする意味の大きさが変わってくる。例えばデータ/AI寄りの実務に進みたい人にとっては、現行の応用情報を経由する価値と、新区分の詳細が固まるのを待って照準を合わせる価値を比べる必要が出てくる。これは基本情報の記事で書いた「待つか今取るか」より一段複雑な、応用情報固有の判断になる。
受験者はすでに、制度より先に教材で統合していた
この改定の発想――応用情報と高度試験群をひとつの枠に括り直す――は、実は制度が動く前から、受験者の教材選びの中にすでに現れていた。
tasklogで応用情報の合格体験記に登場する参考書の被引用を集計すると、上位10冊の中に応用情報用ではない高度試験の教材が3冊混じっている。情報処理安全確保支援士の教科書(17件の合格記で引用)、データベーススペシャリストの対策書(15件)、そして情報処理安全確保支援士の午後問題集(9件)だ。応用情報を受ける人が、まだ受けていないはずの高度試験の教材を、合格体験記の中で何度も引用している。一方で基本情報の合格体験記の上位10冊はすべて基本情報向けの教材で、応用情報や高度試験の本が混ざることはない。
制度としては応用情報と高度試験はまだ別区分のままだが、実際に学ぶ人たちの手元では、すでに地続きのものとして扱われている。今回の改定案が応用情報と高度試験群をひとつの試験に統合しようとしているのは、現場の学び方の実態を、後から制度が追いかけた結果のようにも見える。
今の立場で、今決める
今、業務で足りていない知識を早く体系立てて証明したいなら、応用情報を待つ理由はない。現行の形で学んだ知識は、新区分になっても土台として無駄にはならない。逆に、自分の進みたい先が高度試験群のどの領域かすでに見えているなら、新しい3領域構成がどう固まるかを見てから照準を合わせるという判断にも理はある。どちらを選ぶにしても、「改定があるからとりあえず様子を見る」という判断だけは、一次情報からは支持されない。見直し案の詳細はIPAの発表資料(https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260331.html)で誰でも確認できる。
tasklogでは、応用情報の合格体験記で実際にどの参考書が引用されているかを応用情報(AP)の参考書ランキングで確認できる。高度試験を見据えているなら情報処理安全確保支援士の参考書ランキングも合わせて見ておくと、次の一段がどちらに近いか判断しやすくなる。
(改定案の内容はIPA発表資料に基づく。名称・スケジュールはいずれも案・仮称・予定の段階であり、今後の議論で変わる可能性がある)