GUIDE / キャリアの意思決定 / 更新 2026-10-20
基本情報技術者試験、CBT休止前の「本当の締切」は12月27日ではない

基本情報技術者試験(FE)を受けようか迷っている人の間で、今いちばん参照されている日付はおそらく「12月27日」だ。ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報の3区分はCBT方式(全国の会場に設置されたコンピュータで、年間を通じて好きな日時に受けられる方式)で実施されているが、このCBT方式は2026年12月28日以降いったん休止される。再開時期は未定で、IPAのウェブページでは「決まり次第お知らせする」としか書かれていない。
この情報だけを見ると、考えることは一つに見える。「今年中に受けるなら、12月27日までの空いている枠を押さえればいい」。実際、IPAの申込みページでも、現時点(2026年9月以降に申し込む場合)で選べる試験日は12月27日までとされている。締切は12月27日。そう思っている人は少なくないはずだ。
だが、この「12/27まで大丈夫」という読み方には、ひとつ見落としがある。

不合格だったら、次はいつ受けられるか
基本情報は科目A・科目Bともにその場でコンピュータが採点する形式で、結果は比較的早く分かる。だから「ダメだったらすぐ取り直せばいい」という感覚を持ちやすい。しかし試験を運営するCBT-Solutions社の公式FAQには、こう明記されている。再受験を申し込む際に指定できる試験日は、前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降でなければならない(欠席した場合はこの制限は適用されない)。
つまり、1回目を受けてから次を受けられるまでに、最低でも31日の間隔が空く。これは休止前の駆け込み受験にとって地味に効いてくる制約だ。12月27日を1回目の受験日にしてしまうと、その時点でもう休止期間に突入しているため、2回目は事実上ないに等しい。年内(というより休止前)に2回のチャンスを残しておきたいなら、1回目は12月27日よりずっと手前に済ませておく必要がある。
単純に日数だけで逆算すると、1回目の受験日は11月26日が上限になる。ここで受けて不合格でも、31日後の12月27日にぎりぎり滑り込める計算だ。ただし、これはすべてが順調に進んだ場合の理論上の最終ラインにすぎない。年末に向けて駆け込みの申込みが集中すれば、希望する会場・時間帯の空席は早々に埋まる。IPA自身も「試験会場によっては、2026年12月27日よりも前に試験実施が休止となる場合がある」と注記している。理論上の締切と、実際に予約が取れる締切はイコールではない。この余白を踏まえると、実務上は11月中旬頃までに1回目を終えておくのが、2回目のチャンスまで含めた現実的な安全圏だろう。
「休止の日付」自体も、一度動いている
この2026年12月28日という休止開始日も、実はもともとの予定ではない。IPAの発表によれば、当初の休止開始予定は2026年4月27日だった。それがシステムリプレース作業の延期にともなって、12月28日まで後ろ倒しされた経緯がある。つまり、今まさに参照している「12/27」という日付そのものが、一度大きく動いた実績を持っている。
この経緯を知ると、「どうせまた延期されるかもしれないから、今は様子見でいいのでは」という発想も浮かぶかもしれない。だが、それは順番が逆だ。休止開始日が過去に動いたのは、試験を受ける側の都合ではなく、運営側のシステム更改という事情による。次にまた動くとしても、それは受験者がコントロールできる変数ではない。コントロールできるのは、自分がいつ申し込み、いつ受けるかだけだ。不確定な延期に賭けて先延ばしにするより、今分かっている情報の中でいちばん厳しい前提(=休止は12/28から、再受験には30日かかる)で計画を立てておくほうが、結果的に選択肢を失わずに済む。
今の立場で、今決める
今から基本情報に動くなら、問うべきは「12月27日までに受ければいいか」ではなく、「2回目の機会まで含めて、いつ1回目を受けるか」だ。1回勝負で滑り込むつもりなら12月中旬以降でも間に合うが、不合格の可能性を現実的に見積もっているなら、遅くとも11月中旬までに最初の受験を済ませておきたい。すでに10月も後半に入っていることを考えると、残された準備期間は1か月前後しかない。
残り時間が短いと分かると、教材選びでも「とにかく最速で」という発想に流れやすい。だが基本情報の合格体験記に登場する参考書の被引用を集計すると、実際に合格した人が最も多く引用しているのは「キタミ式イラストIT塾基本情報技術者」のような、範囲を網羅する定番書(72件の合格記で引用)だった。一方、「最速」を謳う対策講座への言及は一桁件数にとどまる。時間が無いときほど近道を探したくなるが、実際に受かった人の多くが選んでいた教材は、必ずしも最短ルートではなかったという事実は、覚えておいて損はない。
残り1か月で何を優先すべきかは、今の自分の理解度によって変わる。ただ、少なくとも「締切はまだ先」という前提だけは、今日のうちに疑っておいたほうがいい。
基本情報の参考書は基本情報(FE)の参考書ランキングで、実際の合格体験記でどの教材が引用されているかを確認できる。
(CBT休止・再開情報はIPA発表資料、再受験の待機期間はCBT-Solutions公式FAQに基づく。再開時期は本稿執筆時点で未定であり、今後の発表で状況が変わる可能性がある)